生活保護:門前払い?

生活保護:門前払い? 申請・開始率、ともに全国最下位−−各市の福祉事務所 /富山
 06年度に県内各市の福祉事務所が受け付けた生活保護の相談のうち、相談者が実際に申請した割合(申請率)は30・4%、受給に至った割合(開始率)は27・4%で、いずれも全国最下位だったことが分かった。県の生活保護受給者の割合(保護率)は95年度以降、全国で最も低いが、市民団体などは「生活保護が必要な人が少ないのではなく、窓口で門前払いしているだけ」と批判している。

 厚生労働省が、全国のすべての市と東京23区について調べた。全国平均は申請率が44・2%、開始率は39・5%と、県平均とはいずれも10ポイント以上の差がある。全国で最も高いのはいずれも佐賀県(申請率71・0%、開始率60・1%)で、生活保護の受給実態に大きな地域間格差があることを示した。

 県内で06年度に生活保護が開始されたのは291件。前年度比では申請率が5・4ポイント、開始率は4・9ポイント上がった。県厚生企画課は「別の施策を紹介する場合もあり、一概に門前払いとは言えない。引き続き、申請権を侵害しないよう指導していく」としている。

 受給手続きを支援する市民団体「縁側ネット」(富山市)の村本哲二代表は「希望者が1人で窓口に行くと、『家族がいる』などの理由で書類すらもらえず追い返される場合が多い。いったん申請を受け付け、その上で内容を審査すべきだ」と指摘している。【茶谷亮】

毎日新聞 2008年10月25日 地方版